アスワン(ハイダム、切りかけのオベリスク)

 エジプトの母、ナイル河は7000kmの長さと、300万km2の流域を持つ大河です。両岸には幅10kmに及ぶ肥沃な農地を広げ河口には広いデルタ
地域があって、6000万人近い人口を支えています。河口から900km上流の町アスワンに、ソ連の協力により1960年から10年以上もかけて高さ
111m、長さ3.6kmという巨大なアスワンハイダムが建造されましたダムは200万kWを越える発電能力でエジプトの未来に光と希望をもたら
すはずでしたダムは、軍事的にも重要な地点で、レーダーやミサイル等が配備され、厳重な警備で守られている。しかし、ダムの建設後、
これが大変な環境破壊をもたらし、エジプト経済にとって大きな打撃となることが判かってきました。エジプトはナイルの賜物と言われ、毎年
氾濫し、肥沃な土や有機物と水を供給し、農業に大きく貢献していたからですエジプトの人たちはこれを巧みに利用し、灌漑用水路を網のよう
に張りめぐらせ、この自然の恵みを農業に最大限に利用しました しかし、洪水は起こらなくなり、上流からの肥沃な泥土が運ばれなくなり
、灌漑用水路は役に立たなくなりました新たな水路には莫大な建設費がかかり、沃土が得られず、化学肥料にたよらざるを得くになってしまい
ました肥料製造に消費する電力はアスワンハイダムの発電量を上回り、洪水が起こらなくなったため、下流の地中深くから塩分が上昇塩害が
起こるようになったのです。また寄生虫が大量に発生、卵が洪水によって洗い流されなくなったからです。上流から土砂が流れなくなり、
河口のデルタ地帯が消滅の危機に瀕しています デルタは土砂の供給なしには海水の浸食に勝てないのです現在の予測によると、地球温暖化
の影響で2050年にはナイル河口の海水面は78cmも上昇すると見込まれていますそうなるとナイル河口から30kmの上流までが海面下に没し、
エジプトの全農地の約15%が消滅し、800万人が定住地を失いますナイル河口付近は地中海で一番豊かな漁場でした。それが、上流から栄養分
が流入することがなくなり、魚介類がさっぱり捕れなくなりました、巨大な経済開発が自然環境を大きく破壊し、経済社会に打撃を与える
結果になってしまいましたエジプトのダム建設の歴史は古く、紀元前2900年頃には、カイロの近くに15m程のダムが造られていたという
1898〜1902にかけて、ナイル川氾濫の制圧と、水力発電の為、旧アスワンダムが 建設されいまも残っています



ダムサイトから下流の眺め

 

ダムサイトからナセルの眺め 人工湖に沈むはずだったファネストアリ神殿の遺跡が見えました

 

移築されたファネストアリ神殿の遺跡と
ダムの記念碑 遠くに記念塔が見える

オベリスクの石切り場



アスワンは花崗岩の産地で、この地で切り出された石はナイル川を船で下りエジプト各地に運ばれた



石切り場にある未完のオベリスクは 長さ42mもあり完成していれば最も高いオベリスクになっていた

 

切りかけのオベリスク 途中で石に亀裂が入りそのまま放置された オベリスクはファラオ
だけが立てるのを許され勝利や祝祭等のファラオの重要な業績や出来事が刻まれている

 

ナイル独特の帆船ファルーカとヌビア人の船長

 

ファルーカのクルージングでアガサ・クリスティの小説「ナイル殺人事件」の舞台オールドカタラクトホテルと夕焼けを楽しんだ

 

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